Jaquet Droz(ジャケ・ドロー)は、1738年にピエール・ジャケ・ドローによってスイス・ラ・ショー・ド・フォンで創業された、世界最古級の高級時計ブランドのひとつです。創業者は時計師であると同時に、驚くほど精巧なオートマタ(自動人形)の製作者としても歴史に名を刻んだ人物。ブランド哲学は「時間に詩情を与える」こと。機械式時計の精度と、芸術性あふれるダイヤル装飾を融合させた独自の世界観で、世界中の時計愛好家から深い敬意を集めるラグジュアリーウォッチメゾンです。
18世紀、創業者ピエール・ジャケ・ドローは、スペイン王フェルナンド6世に自作の時計を献上したことをきっかけにヨーロッパ王侯貴族の寵愛を受け、ロンドンやパリ、さらには中国・日本・インドの宮廷にまで作品を輸出しました。特に有名なのが、息子アンリ=ルイと共に製作した「書記人形」「音楽家人形」「素描人形」の三体のオートマタで、現在もスイス・ヌーシャテル美術館に保存され、現代ロボット工学の原点とも称されています。
2000年にスウォッチ グループの傘下に加わって以降は、伝統的なグラン・フー エナメル、手彫りエングレービング、オートマタといったメティエ・ダール(芸術工芸)を現代の機械式時計に昇華させ、独自の存在感を放ち続けています。
ブランドを象徴する看板モデル。上部に時分表示、下部に大きなスモールセコンドを配した「8の字」ダイヤルは、1784年のポケットウォッチに着想を得たデザインです。グラン・フー エナメルやオニキス、メテオライトなど、素材の表情を最大限に活かした文字盤が魅力で、シンプルながら唯一無二の存在感を放ちます。
時分針のみのミニマルな構成に、中央の広大なスペースを活かして精緻なミニチュアペインティングや蒔絵、エングレービングを施した芸術的シリーズ。日本の伝統技法を取り入れたモデルも存在し、和の美意識を愛する愛好家に特に人気です。
ミニッツリピーターとオートマタ、ジャックマールを組み合わせた超複雑時計。鳥のさえずりや羽ばたき、滝の流れまでも文字盤上で再現する、創業者の精神を受け継ぐ最高峰の作品群です。
ジャケ・ドロー最大の魅力は、18世紀から続くオートマタと装飾芸術の伝統を、現代の自動巻き機械式ムーブメントと共に味わえる点にあります。多くの高級時計ブランドが機械的複雑性を競う中、ジャケ・ドローはダイヤルそのものを一枚の絵画、あるいは舞台として扱い、詩的で静謐な美を追求。派手さより奥行きを重んじる愛好家にとって、これほど心を満たす腕時計は多くありません。
すでに定番のラグジュアリーウォッチを所有し、「次はもう少しパーソナルで、工芸的な一本を」と考える成熟した愛好家に最適です。控えめながら知性と審美眼を感じさせるデザインは、フォーマルな場はもちろん、文化人やクリエイターの日常にも自然に溶け込みます。時計を単なる道具ではなく、手元に宿る芸術作品として愛でたい方に、強くおすすめできるブランドです。
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